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今日からできる!家庭でできる食品ロス削減
食べ残し、売れ残りや期限が近いなど様々な理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品「食品ロス」。日本の食品ロス量は、年間523万トン、毎日、大型トラック(10トン車)約1,433台分の食品を廃棄しています。大切な食べものを無駄なく食べきり、環境面や家計面にも優しい簡単な工夫をご紹介します。
①なぜ、食品ロスが問題になっているの?
日本では、食べられるのに捨てられる食品「食品ロス」の量が年間523万トン(※1)と推計されており、日本の人口1人当たり毎日おにぎり1個(114g)を捨てている計算になります。日本では、家計における食費は消費支出の中で4分の1(※2)を占めています。食料自給率(カロリーベース)は38%(※3)で、食料の多くを海外からの輸入に依存しています。
また、世界の食料廃棄量は年間約13億トンで、人の消費のために生産された食料のおおよそ3分の1を廃棄しています(※4)。
このように、食料を大量に生産、輸入しているのに、その多くを捨てている現実があるのです。
大量の食品ロスが発生することにより、様々な影響や問題があります。食品ロスを含めた多くのごみを廃棄するため、ごみ処理に多額のコストがかかっています。また可燃ごみとして燃やすことで、CO2排出や焼却後の灰の埋め立て等による環境負荷が考えられます。
経済の観点では、食料を輸入に頼る一方で、多くの食料を食べずに廃棄している状況は無駄があります。人や社会への観点では、多くの食品ロスを発生させている一方で、7人に1人の子どもが貧困で食事に困っている状況です。
私たち一人ひとりが食べものをもっと無駄なく、大切に消費していく必要があります。
※1:令和3年度推計(農林水産省・環境省)
※2:総務省「家計調査(2022年)」
※3:農林水産省「食料需給表(令和3年度)」
※4:国連食糧農業機関(FAO)「世界の食料ロスと食料廃棄(2011年)」
②食品ロスはどこから発生しているの?
日本の食品ロス量年間523万トンのうち、事業系は279万トンで、主に規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなど、家庭系からは244万トンで、主に食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、皮の剥きすぎなど(過剰除去)が発生要因です。
家庭系の食品ロスについて、消費者庁が平成29年(2017年)に徳島県で実施した食品ロス削減に関する実証事業の結果では、まだ食べられるのに捨てた理由として、(1)食べ残し57%、(2)傷んでいた23%、(3)期限切れ11%(賞味期限切れ6%、消費期限切れ5%)の順で多いことが分かりました。
食品ロスを減らすためには、事業者や家庭の皆様一人ひとりが意識して、国民全体で食品ロスの削減を目指すことが大切です。
③食品ロスを減らすためにできることは?
食品ロスを減らすための小さな行動も、一人ひとりが取り組むことで、大きな削減につながります。食べものをつくる生産者・製造者への感謝の気持ちや、食べものを無駄にしないという意識はあっても、行動に移せていない方もいらっしゃるかもしれません。
基本は、買物時に「買いすぎない」、料理を作る際「作りすぎない」、外食時に「注文しすぎない」、そして「食べきる」ことが重要です。
そこで、身近なところから食品ロスを減らすためのヒントをご紹介します。
1.家庭での取組
<お買物編>
●買い物前に、食材をチェック
-冷蔵庫や食品庫にある食材を確認する-
買物をした後に、冷蔵庫に同じ食材があったことに気づき、食材を余らせてしまうケースもあります。無駄をなくすためにも、事前に冷蔵庫や食品庫にある食材を確認するようにしましょう。買物前のちょっとした時間に、冷蔵庫内を、携帯電話のカメラ機能で撮影しておくのもよいでしょう。
●必要な分だけ買う
-必要な分だけ買って、食べきる-
お得なまとめ買いをしたものの、使わずに、期限が過ぎてしまい捨ててしまうことが考えられます。必要な時、必要な分だけ買ったほうがお得な場合もあります。
●期限表示を知って、賢く買う
-利用予定と照らして、期限表示を確認する-
食品スーパーで買物をする際、期限までの期間がより長いものを買おうと、棚の奥から商品を取ることもありますが、すぐ使う食品は棚の手前から取りましょう。期限が短かったり、切れてしまうと、お店で返品や廃棄してしまうので、お店での食品ロスが発生してしまいます。
<ご家庭編>
●適切に保存する
-食品に記載されている保存方法に従って保存する-
誤った方法で保存すると、食品の劣化が早くなる場合があります。保存は正しい方法で、食品をおいしく食べきりましょう。
-野菜は、冷凍、乾燥など下処理し、ストックする-
一度に食べきれない野菜は、冷凍や乾燥の下処理をして、小分け保存などして、食材を長持ちさせる工夫をしてみましょう。
●食材を上手に使いきる
-残っている食材から使う-
新しく買ってきた物を先に使ってしまうと、残っている食材は傷んでしまう可能性があります。残っている食材から使いきるようにしましょう。
●食べきれる量を作る
-体調や健康、家族の予定も配慮し、食べきれる量を作る-
家族とのコミュニケーションで、食品ロスがでないように工夫しましょう。
-作り過ぎて残った料理は、リメイクレシピなどで食べきる-
リメイクやアレンジレシピで、作り過ぎてしまった料理を食べきりましょう。
2.外食時、宴会時の取組
<外食編>
●店選び
-食品ロス削減に、積極的に取り組む店を選ぶ-
料理の量を選べる店、食べきれない料理を持ち帰ることができるお店を選びましょう。
●注文
-小盛りメニューやハーフサイズを活用し、食べられる量だけ注文する-
食べられる量を相談できることで、食べきれる量の料理をおいしく食べきりましょう。
●食事
どうしても残してしまった料理は、お店と相談して持ち帰ることも検討しましょう。
<宴会編>
●味わいタイム・楽しみタイム
-料理を楽しむ味わいタイムを設ける-
乾杯後、席を立たずに料理を楽しむ時間を設けましょう。
●食べきりタイム
-食べきりタイムを設ける-
お開き前に、もう一度料理を食べきる時間を設け、幹事は「食べきり」を呼び掛けましょう。
3.家庭での食品ロスの把握
家庭でどのぐらいの食品ロスが発生しているか、把握してみることから始めてみましょう
●「食品ロス削減啓発冊子/計ってみよう!家庭での食品ロス」
いつ、何を、どのくらい、どういう理由で捨てたかを記録できます
買いすぎ、作りすぎ、ためこみなど、タイプの確認ができます
使いきれる分だけ買う、食べきるための調理テクニック、整理整頓の見える化などのポイントを参考に実践してみましょう
④地方公共団体、事業者等の取組は?
1. 地方公共団体の取組
地方公共団体と地域の飲食店が連携し、食べ残しを減らす取組を行っています。地方公共団体が把握している食べ残しを減らす取組を実施している飲食店舗数は、令和3年度(2021年度)で22,586店舗でした。
●【事例】全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会
広く全国で食べきり運動等を推進し、食品ロスを削減することを目的とした自治体間でネットワークが構築されるなど、地域から「もったいない」を見直す取組が広がっています。
2. 事業者の取組
農林水産省では、食品ロス削減に向けた消費者の理解を促進するため、小売事業者等が利用可能なポスター等を作成し、令和3(2021年)年10月を啓発月間として啓発活動を実施しました。令和4年(2022年)10月の啓発月間においても、同様の取組を実施中であり、啓発活動に取り組む事業者を募集し、公表・PRを行う予定です。
食品メーカーでは、容器包装の工夫により鮮度保持期限を延長したり、一人前ずつの個包装による食べ残しを防いだりする取組も行われています。
アプリ開発事業者が飲食店と連携して、閉店近くに余って廃棄の危機にある安全でおいしい食事を、最後までおいしく食べてもらおうと、ITを使ったフードシェアリングサービスも展開されてきています。
3.学校、大学での取組
生徒・学生等も、活発に取組を行っています。
・野菜を皮ごと使ったり、残った料理をリメイクしたり、備蓄食料を活用した食品ロス削減につながるレシピを考案
・食品ロスの問題に関する新聞を作成して、学校内や町内会に配布
・出前授業や地域イベントでの食品ロス削減の啓発活動
・家庭で余っている未開封の食品を集めてフードバンクに寄付
など
食品ロス削減の取り組み、できることから行動してみませんか。
編集:チームコンシェルジュ
引用:取材協力 外務省 文責 政府広報オンライン