健康・医療
2-5.部位別がん検診の実際・子宮頸がん検診

20歳以上の女性は、2年に1回、子宮頸がん検診を受けましょう。(公開日:2018年9月20日)

1.子宮頸がんと子宮体がん

子宮がんには子宮頸部と体部の2種類のがんがあり、両者はその部位もがんの種類も異なります。子宮頸がんは、子宮の入り口の頸部から発生します。
体がんは、子宮の奥にある内膜から発生します。内膜は生理のときにはがれてしまうので、閉経前に体がんが発生することはまれです。
子宮頸がんは、30~40歳代に多く(10万人あたり17人程度※)、体がんは50~60歳代が多く診断されます(10万人あたり23人程度)。体がんは閉経以降にそのリスクが高くなります。現在のところ、検診の対象となるのは子宮頸がんです。
※上皮内がん含めず

図1 子宮の部位

2.子宮頸がん検診の方法

子宮頸がん検診の方法として“効果がある”のは、「細胞診」です。進行がんになるのを防ぐことができ、がん検診の中でも効果の高い検診と考えられます。子宮体がん検診は、“効果が不明”です。

 

1)細胞診(“効果あり”=○)

婦人科の専門医によって、子宮頸部の粘膜を採取し、がん細胞の有無やがん細胞の種類(組織型)を知ることができます。これを細胞診といい、この検査によって子宮頸がんの診断ができます。ただし生理中の場合、十分な検査ができない場合があります。検査の感度(がんがある人を正しく診断できる精度)は50~80%です。検査後に、まれに出血することもあります。

3.子宮頸がん検診の精密検査

細胞診では、約1%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は、組織診やコルポスコープなどがありますが、その方法は“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の程度”により選択されます。

 

1)コルポスコープ

コルポスコープは、子宮頸部の粘膜表面を拡大し、細かい部分を観察できる医療機械です。この機械で観察するのと同時に粘膜の組織を採取して、悪性かどうかの検査をします。

 

2)組織診

疑わしい部分から組織を取り、標本をつくって顕微鏡で診断する方法です。痛みはほとんどなく、まれに出血することもありますが、まもなく止まります。

4.子宮体がんについては?

体がんの検診は、今のところ効果が証明されていません。むしろ、症状があれば必ず病院を受診するということが大切です。
子宮体がんは、病状が進行していない早期の段階で出血することが多く、不正性器出血での発見が90%といわれています。少量でも出血があれば、すぐに医療機関を受診すれば早期発見が可能です。検査としては、体部の細胞を採って調べる体部細胞診が行われます。下着にしみがつくことや、下腹部痛も出血に次ぐ症状です。

5.子宮頸がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]

20歳以上の方は、2年に1回、細胞診による子宮頸がん検診を受けましょう。


[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]

治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。
治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。

6.参考文献

1.厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」
2.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版
3.平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
4.平成18年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン
5.平成20年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班 平成21年度厚生労働省がん研究助成金「「がん検診の評価とあり方に関する研究」班;有効性評価に基づく子宮頸がんガイドライン
6.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版

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編集・脚本 チームコンシェルジュ

<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター
 がん情報サービス