健康・医療
2-6.部位別がん検診の実際・乳がん検診

40歳以上の女性は、2年に1回、乳がん検診を受けましょう。(公開日:2018年9月20日)

1.乳がん検診の方法

乳がん検診の方法として、“効果がある”のは、「マンモグラフィ」による検診です。視触診単独の検診は“効果なし”です。「乳房超音波検査」は“効果不明”です。

 

1)乳房エックス線検査(マンモグラフィ)(“効果あり”=○)

乳房エックス線検査とは、マンモグラフィのことです。この検査では、医師の触診だけでは発見できないしこりを診断することができます。小さな、特に石灰化のある乳がんの発見に適しています。このほか、乳房の良性疾患などが診断できます。検査の感度(がんのある人を正しく診断できる精度)は、80~90%です。検査時に乳房をできるだけ平らにして撮影するため、多少の痛みがあります。

 

2)視触診(“効果なし”=×)

医師が乳房を診察し、しこりの有無を判断する検査です。触診で発見できるものは、ある程度の大きさのあるしこりに限られています。このため視触診単独では、検診としての効果がありません。

 

3)乳房超音波検査(“効果が不明”=△)

超音波により、乳房の病変を検査する方法です。乳房超音波検査は、医師の触診だけでは発見できない小さいしこりや、しこりの良性、悪性の診断に用いられています。乳腺の発達した人や、若年者の検査に適しています。

2.乳がん検診の精密検査

マンモグラフィと視触診の組み合わせによる検査では、約8%が「精密検査が必要」という判定を受けます。この場合、必ず精密検査を受けることが求められます。精密検査の方法は、マンモグラフィ、超音波、MRI、CT、穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)や針生検などがありますが、その方法は、“疑わしい病変の部位”、“悪性の可能性の有無”により選択されます。

 

1)マンモグラフィ

病変が疑われた部位を詳しく観察するため、多方向から観察します。

 

2)乳房超音波検査

超音波により、病変が疑われた部位を詳しく観察します。

 

3)乳房MRI検査

病変が疑われた部位を、MRIによって詳しく撮影します。このとき、造影剤を注射したり、検査に時間がかかることがあります。

 

4)乳房CT検査

病変が疑われた部位をCTによって、詳しく撮影します。このとき、造影剤を注射したり、検査に時間がかかることがあります。

 

5)穿刺吸引細胞診、針生検

しこりなど疑わしい病変が見つかった場合、細い注射針を刺して中の細胞や組織を採取し、悪性かどうか調べます。

3.乳がん検診の結果を受けて、次回の検診は

[検査で異常なしの場合]

40歳以上の方は、2年に1回、マンモグラフィによる乳がん検診を受けましょう。

 

[精密検査でがん以外の病気が指摘された場合]

治療が必要か、経過観察が必要かを、担当医と相談してください。 治療や経過観察が必要な場合には次回のがん検診は不要ですが、担当医の指示に従って、必要な検査を受けてください。

4.参考文献

1.厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」
2.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版
3.平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
4.平成18年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン
5.平成20年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班 平成21年度厚生労働省がん研究助成金「「がん検診の評価とあり方に関する研究」班;有効性評価に基づく子宮頸がんガイドライン
6.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版

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編集・脚本 チームコンシェルジュ

<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター
 がん情報サービス