健康・医療
2-7.がん検診Q&A
このページでは、がん検診についての質問をQ&A形式で掲載しています。(公開日:2018年9月20日)
1.効果のあるがん検診
A.科学的な方法により、がん検診として効果があると評価された検診を受けることが望ましいといえます。効果が不明あるいは効果なしと評価されている検診を受ける場合には、検診のメリットが受けられない、つまりがんでなくなるリスクが低下する保証がないことや、その一方で、デメリットは必ずあることを理解したうえで受けることが大切です。
次の表に、科学的な方法によってがん死亡率の減少が確認され、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」に定められた検診方法を表1に示します。
表1 「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で定められたがん検診の内容
A.がん検診を受けても、そのがんによる死亡率が減少するということが科学的に証明されていないものを、効果が不明ながん検診といいます。ただし、現在こうした評価となっているがん検診についても、今後さらなる研究によって、効果があると判明する場合もあります。こうした検診方法については、きちんとした研究が行われていなかったり、研究の途上にあることから、効果がある、あるいはないといった確実な判断ができない状況にあるということです。
A.精度が高い最新の診断法(診断のための検査法)が検診法として有効かと言うと必ずしもそうではありません。そのような検査を行えば小さながんも多く見つかるかもしれませんが、そうしたがんの発見が、がんで亡くなるリスクを減らすことに貢献しないことがありえます。健康な人に見つかるがんには生命に影響しないがんも多かれ少なかれ含まれているためです。がんの種類によっては、このようながんが圧倒的に多いものも有ります。このため、精度の高い検査で小さながんを見つけても、がんによる死亡率が変化しない場合があります。がん検診の効果を正確に判断するためには、検査の精度だけでは判断ができません。このため、がんの死亡が減少したということを科学的に証明することが必要です。
A.がん検診の効果は、がんによる死亡率が減少したということを科学的に証明することが必要です。検診の効果があるかどうかは、検診料金に反映されるわけではありません。このため、検診料金の高い検査が、必ずしも効果のある検診とはかぎりません。がん検診を受診する場合には、効果についての科学的根拠を確認して、受診するかどうかを判断してください。
2.がん検診の受診
A.各自治体(都道府県、市町村、特別区)で、がん検診や一般の健康診断、人間ドックの案内をしています。各地方自治体から委託を受けた医療機関などで受けることができます。これらの検診は、どなたでも受診することが可能です。ただし、対象となる年齢や実施時期、検査を行う場所、費用負担は各自治体によって異なります。詳しくは、各自治体のがん検診担当窓口にお尋ねください。
A.がん検診は、症状のない方のための検査です。何からの自覚症状のある方には、検診ではなく、症状に応じた診断のための適切な検査や治療が必要になります。症状のある場合は、がん検診を受けるのではなく、必ず医療機関を受診してください。
A.検査の準備が必要な場合と、不要な場合があります。胃部エックス線検査では、検査当日は検査が終了するまで食事や飲み物がとれません。便潜血検査では、検査のための採便を2日行います。喀痰検査(かくたんけんさ)では、3日間喀痰の採取が必要です。胸部エックス線検査、乳房エックス線検査(マンモグラフィ)、子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶさいぼうしん)では、準備は不要です。ただし、生理中の場合子宮頸部細胞診は通常避けた方が良いとされています。
A.検査そのものに要する時間は、いずれも10~20分程度ですが、場合によっては長くかかることもあります。また、検査によっては、多少の痛みや不快感を伴うこともあります。
3.がん検診の精密検査
A.がん検診で精密検査が必要と判定されたのは、「がんの疑いを含め異常(病気)がありそう」と判断されたということです。より詳しい検査を行い、本当に異常があるかどうかを調べる必要があります。「症状がない」、「健康だから」といった理由で精密検査を受けない場合には、がん検診で見つかるはずのがんを放置してしまうことになります。精密検査が必要と判定されたら必ず精密検査を受けてください。
A.がん検診の種類によって、精密検査の方法が異なります。どのような医療機関で精密検査を受けたらいいかは、自治体からの案内(自治体から医療機関のリストが送られてくる場合もあります)、検診を受けた医療機関、かかりつけ医などにご相談ください。
4.参考文献
1.厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」
2.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター;有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年度版
3.平成16年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン
4.平成18年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン
5.平成20年度厚生労働省がん研究助成金「がん検診の適切な方法とその評価法の確立に関する研究」班;平成21年度厚生労働省がん研究助成金「「がん検診の評価とあり方に関する研究」班 有効性評価に基づく子宮頸がんガイドライン
6.国立がん研究センターがん予防・検診研究センター; 有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年度版
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編集・脚本 チームコンシェルジュ
<掲載内容の情報源・根拠>
・国立がん研究センター
がん情報サービス